※当記事には広告が含まれています。
「お家で使う温泉入浴剤って、結局どれを選べばいいんだろう」と感じることはありませんか?
ドラッグストアにずらっと並ぶ商品、ネットで「温泉入浴剤 おすすめ」と検索したときに出てくる「20選」「50選」みたいなランキング記事。眺めているうちに、結局どれが自分に合うのか分からなくなる、という経験はぼくにもあります。
昔から(上京してから)、温泉にホイホイ行けるわけではないので入浴剤も好きでよく買っています。
この記事では、温泉ソムリエ取得者である私・湯守みなとが、ちょっと違う角度から入浴剤の選び方を書いていきます。
具体的には、温泉ソムリエで学ぶ「10種類の泉質」と、入浴剤の成分が、どう対応しているのかという視点です。これがわかると、商品ラベルの成分表を見て「あ、これは美肌系の温泉に近い設計だな」「これは血行促進向けの炭酸系だな」などを読み解けるようになります。
なるべく網羅的にはしますが、ランキングではありません。温泉ソムリエ的な世界に「優劣のあるベスト温泉」がないのと同じで、入浴剤にも「絶対的な1位」はないと思っているからです。あくまで、自分の目的や好みに合うものを選ぶための地図として読んでもらえると嬉しいです!
※当サイトは、温泉ソムリエ取得者の個人ブログです。勉強した内容や実体験やリサーチを基に正確な情報を心がけていますが、私の認識がもしかしたら間違っている部分もあるかもしれません。私個人の主観も含まれる点をご承知おきください。
- 入浴剤は「薄い温泉」と言える、という前提知識
- 温泉ソムリエの10泉質と、入浴剤の有効成分がどう対応しているか
- 目的別(疲労回復・美肌・温まり・子どもと・眠り)の選び方
- 「美人の湯」を入浴剤で再現する=落とす→覆うの二段使い
- 追い焚き・浴槽素材・薬機法など、買う前に知っておきたい注意点
そもそも「温泉入浴剤」とは|入浴剤は「薄い温泉」である
まず、入浴剤と温泉の関係について。
温泉ソムリエで習うことの1つに、面白い内容があります。日本でいちばん多い泉質である「単純温泉」について勉強していくと、こんな内容が出てきます。
単純温泉は成分が薄いとは言っても、実際には入浴剤を入れたお風呂か、それ以上の濃度を持っているものがほとんどです。
まあつまり、単純温泉は「単純」という名前が付いているけど入浴剤よりは濃いんですよ、ということです。
これ、温泉好きにとってはけっこう衝撃の話だと思うんです。「入浴剤じゃ温泉気分は味わえない」と思い込んでいる人も多いですが、ちゃんと成分が入った入浴剤は、ある意味で「うすい温泉」と言える存在だ、ということです。
入浴剤メーカーが、本物の温泉に似せて作っているとも言えるかもしれませんね。
もちろん、温泉地に実際に行って入る本物の温泉と、家のお風呂に入浴剤を溶かしたものは、別物です。濃さが全然ちがいますし、湧き出たばかりの源泉の鮮度、泉温、湯ざわりや香りの厚み、それに温泉地の空気感、そういうものは家庭では完全再現できません。
ただ「成分の話」で言えば、温泉成分が入った入浴剤が多く、「入浴剤=薄めの温泉」と考えることもできる。これが、入浴剤を選ぶときの土台になる考え方かなと思います。
そう思って入った方が気持ちが良いですしね!
「医薬部外品」と「化粧品(浴用化粧料)」の違い
もうひとつ前提として知っておきたいこととして、入浴剤の法的な区分に触れておきます。意識しない人は多いと思いますが、実は商品パッケージをよく見ると、たいてい次のどちらかが書かれています。
- 医薬部外品(薬用入浴剤):有効成分が決まっていて、効能効果(「疲労回復」「肩こり」など)を表示できる
- 化粧品(浴用化粧料):気分転換やリラックス目的。効能効果は表示できない
たとえばバスクリンの「日本の名湯」シリーズや、花王の「バブ」、アース製薬の「温素」などは医薬部外品。
一方で、香りや見た目重視のバスソルト、おしゃれな海外ブランドの入浴料には「化粧品」分類のものが多いです。
どちらが優れているという話ではなくて、「適応症(効能のこと)」を明示できる入浴剤を選びたいなら医薬部外品を、香りやムードを優先したいなら化粧品分類でも全然OK、という棲み分けですね。
ちなみに温泉の世界では「効能」とは言わず「適応症」と呼びます。薬機法の関係で言葉を分けているんですね。これは温泉ソムリエ講座でも最初のほうに習う基本ルールです。
温泉ソムリエの10泉質と、入浴剤成分の対応
ここからが、この記事の本題です。
その前に|全泉質に共通する「一般的適応症」とは
具体的な対応表に入る前に、ひとつ前提として知っておきたい話があります。
温泉には、泉質に関係なく「お湯に浸かること自体」で効くとされる適応症があります。温泉ソムリエの世界では「一般的適応症」と呼ばれているもので、温熱作用によって血管が拡張し、血流がよくなる効果などが中心です。
(あくまで、お風呂の湯船の話ではなく、温泉の話ですけどね)
具体的にあげると、筋肉痛・関節痛・腰痛・五十肩などの慢性的な痛み、冷え性、末梢循環障害、軽症高血圧、自律神経不安定症、ストレスによる不眠・うつ状態、疲労回復、健康増進など。これは全ての温泉に共通する効果ですね。
自宅での入浴剤の場合も、お湯に浸かるという行為自体は同じなので、温熱作用による効果はベースとしてある。そこに「どの泉質の成分が入っているか」で、追加のキャラクターが乗ってくる、というイメージで読むといいのかなと考えています。
10泉質と入浴剤成分の対応表
温泉は、含有成分により10種類の泉質に分類されます。そして、市販の入浴剤の有効成分の多くは、この10泉質のどれかに対応する成分ともみてとれます。
ざっくり対応関係を表にすると、こうなります。
| 泉質 | 対応する主な入浴剤成分 | キャラクター | 同系統の温泉に挙げられる浴用適応症(参考まで) |
|---|---|---|---|
| 炭酸水素塩泉 (重曹泉系) | 炭酸水素ナトリウム・炭酸ナトリウム | 美肌・クレンジング | きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 |
| 二酸化炭素泉 | 炭酸水素ナトリウム+有機酸(コハク酸・リンゴ酸・フマル酸など)で発泡 | 血行促進・「心臓の湯」 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症 |
| 硫酸塩泉 | 硫酸ナトリウム・硫酸マグネシウム・硫酸カルシウム | 保湿・肌の蘇生 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 |
| 塩化物泉 | 塩化ナトリウム(食塩) | 保温・「温まりの湯」 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 |
| 単純温泉 (弱アルカリ性単純温泉など含) | 炭酸ナトリウムなどでpH7.5以上に | 家族の湯・美肌 | 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態 |
| 硫黄泉 | 硫黄成分(本物の湯の花)/硫黄の香りだけの再現タイプもある | 本格温泉感・要注意 | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症 |
| 酸性泉 | 本物の湯の花(草津・玉川など) | 強い・家庭向きではない場合も | アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常、表皮化膿症 |
| 含鉄泉 含よう素泉 放射能泉 | 市販入浴剤での再現はほぼなし | 本物の湯の花のみ | 含鉄泉・含よう素泉は浴用適応症なし/放射能泉は高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など |
※「同系統の温泉に挙げられる浴用適応症」は、温泉法に基づいて温泉本体に認められたものです。入浴剤の効能を保証するものではありません。先に書いた「一般的適応症(疲労回復、肩こり、冷え性など)」は、全ての温泉に共通して別途あります。
ちょっといきなり情報量が多かったかもしれませんね(笑)。
まあでも、なんとなく「入浴剤も薄い温泉であり、温泉の泉質の分類に呼応してキャラクター(性格)が乗ってくる」ということが伝われば十分です。
この表を頭に入れた状態でドラッグストアの入浴剤コーナーを歩くと、見え方が変わると思います。
かならずどれか1つに分類されるわけではなくて、「炭酸水素塩泉であり、硫酸塩泉でもある」というように複数が該当することもよくあります。(本物の温泉もそう)
商品裏面にある「有効成分」の欄をチラッと見るだけで、それがどの泉質を狙った設計なのかがぼんやりと読めるようになります。
各カテゴリの特徴を、もう少し詳しく書いていきます。
炭酸水素塩泉系|美肌・クレンジングの湯
有効成分に「炭酸水素ナトリウム」「炭酸ナトリウム」などが並んでいるタイプ。これが含まれている入浴剤は非常に多いです。温泉ソムリエ的に言うと、これは炭酸水素塩泉(旧分類でいう重曹泉)に近い性格を持ちます。
このタイプは「三大美人泉質」のひとつにも数えられている泉質で、肌の脂分や分泌物を乳化して洗い流す=クレンジング効果が特徴です。湯ざわりはツルツル、入浴後は肌がさっぱりした感じになります。
例えばの商品は、「薬用BARTH 中性重炭酸入浴剤」です。これはドイツの中性重炭酸泉から着想を得た設計で、独自技術で重炭酸イオンを長く湯中に溶け込ませる、という商品。@cosmeのベストコスメで殿堂入りしているほど、評価の高い入浴剤です。体がポカポカ温まりますが、入浴後はさっぱりします。毛穴やお肌の汚れを洗い落とすのにもよいですね。湯上がり後は保湿ケアを忘れずに。
二酸化炭素泉系|シュワシュワ発泡・血行の「心臓の湯」
ここはちょっと混同されがちなポイントでもあり、僕もいまだに悩みます…。
「炭酸系入浴剤」と呼ばれるものには、実は2系統あります。ひとつは上で書いたBARTHのような「中性重炭酸=炭酸水素塩泉系」。もうひとつが、お湯に入れるとシュワシュワ発泡する「二酸化炭素泉系」。後者がここです。
後者の入浴剤の仕組みとしては、炭酸水素ナトリウムと有機酸(コハク酸・リンゴ酸・フマル酸など)がお湯の中で反応して二酸化炭素ガスを発生させる、という化学反応みたいです。
発生した炭酸ガスが皮膚から吸収されて、毛細血管を拡張させ血行を促すということになり、温泉ソムリエの世界で言うところの「心臓の湯」「泡の湯」、つまり二酸化炭素泉の効果を狙った設計だと思います。
代表は花王の「バブ」、バスクリンの「きき湯」シリーズなど。ドラッグストアでもよく見かけるやつです。とくに「きき湯ファインヒート」シリーズは、炭酸ガスに加えて温泉ミネラル(硫酸ナトリウムや塩化ナトリウム)と生薬も配合した複合型で、温まりたい・疲労回復したい人向けに作られています。温熱効果がとても高く、冷え性にも良いですね。
「炭酸系」とひとくくりに言われがちですが、BARTHのような持続型(中性でゆっくり長く溶け込む)と、バブ・きき湯のような発泡型(短時間でガスが出てくる)では、温泉ソムリエ視点では別物として読むのが正確なのかなと思います。
バブ オリジナルアソートパック 30錠セット
花王の二酸化炭素泉系のロングセラー「バブ」のアソートセット。シュワシュワ発泡する炭酸ガスが血行を促す「心臓の湯」設計で、「赤ちゃんと一緒に入浴する時も使えます」と公式明記の安心感も魅力です。
入浴剤を楽天で見てみる →硫酸塩泉系|保湿・肌の蘇生
有効成分に「硫酸ナトリウム(芒硝)」「硫酸マグネシウム(エプソムソルト)」「硫酸カルシウム(石膏)」が入っているタイプ。これも三大美人泉質のひとつで、保湿・肌の蘇生効果が特徴です。
面白いのは、有効成分の組み合わせによって性格が変わるところ。ナトリウム系は芒硝泉、マグネシウム系は正苦味泉、カルシウム系は石膏泉と、温泉の世界では成分によっても作用が変わってきます。
たとえばの商品としては、別府海地獄温泉の温泉水を噴霧乾燥して配合した「マグマオンセン別府(海地獄)」です。有効成分は乾燥硫酸ナトリウムなので、主軸のキャラクターは硫酸塩泉系です。体がポカポカになり、しっとり肌を作るのに良いです。マリンブルーの青の湯色も特徴で、40年以上のロングセラーだそうです。
ちなみに、本物の海地獄温泉(一般入浴のできない見る観光スポット)の泉質は「含食塩酸性泉」で「硫酸塩泉・塩化物泉・酸性泉」の3つの要素を併せ持つ複合泉質ですね。
塩化物泉系|保温の「温まりの湯」
有効成分が「塩化ナトリウム」中心のタイプ。塩化物泉は、肌に塩分が付着して汗の蒸発を防ぐコーティング効果から、湯冷めしにくい「温まりの湯」「熱の湯」ともいえます。
市販のバスソルト系はだいたいここに当てはまります。ドイツ・ルイーゼンハル製塩所の岩塩を使った「クナイプ バスソルト」などが商品例で、これはドラッグストアによくあるシリーズです。塩化ナトリウムだけでなくマグネシウムやカルシウムも含むので、塩化物泉と硫酸塩泉のハイブリッド的な性格があることも多いです。体が温まって、血流効果がよくなります。
香りや色を楽しむアロマ系のバスソルトもこのカテゴリに入りますが、保湿コーティング効果は塩の作用なので、ベースの考え方は同じです。
(弱)アルカリ性単純温泉系|家族の湯・美肌
pH値7.5以上の弱アルカリ性に設計された入浴剤。温泉でいう分類「単純温泉」の中でも、群馬の川中温泉、和歌山の龍神温泉、島根の湯ノ川温泉などの「美人の湯」がここに当たります。
アルカリ性の湯は角質を柔らかくして余分な皮脂や汚れを洗い流す、いわばピーリング的な働きをします。お湯はツルヌルした独特の感触で、入浴後は肌がすっきり滑らかになる感じ。
市販品では「温泉入浴剤 アルカリ単純泉pH9.5 美肌の湯600g」などが、まさに「美人の湯」温泉のアルカリ度を再現したコンセプトの商品です。温泉でいうとくすみをとったり、ツルツル肌効果ですね。他にも、アルカリ湯質を科学した、というコンセプトで展開している入浴剤は多いので「アルカリ」や「ph値」という言葉を見つけたらこの分類の可能性が高いです。
アルカリ単純泉 pH9.5 美肌の湯 600g
群馬の川中温泉や和歌山の龍神温泉など、「美人の湯」のアルカリ度を再現したコンセプトの入浴剤。ツルヌルの湯ざわりが家庭で楽しめます。
入浴剤を楽天で見てみる →硫黄泉系|本格温泉感の代名詞・ただし注意点あり
硫黄泉は、もっとも「温泉らしい」と感じられる泉質とも言われます。ゆで卵のようなあの独特の匂いや、乳白色・エメラルドグリーンの湯色なども硫黄泉であることが多いです。シミ予防や生活習慣病の適応症もあって、温泉好きには根強い人気があります。
ただし、本物の硫黄成分は金属を腐食させる性質があるため、家庭の浴槽・追い焚き循環式の風呂釜では使えないのが基本です。これは入浴剤を選ぶ上で見落としがちな大事な点。
市販の入浴剤で「硫黄の香り」「白濁の湯」を謳っているものも、よく見るとイオウ成分は入っていないことが多いです。たとえばアース製薬の「温素 白華の湯」は「硫黄の湯」の湯ざわりを追求した商品ですが、有効成分にイオウは含まれず、湯のはな由来成分(硫酸カルシウム)で乳白色を出している、という設計です。
「本物の硫黄が入った入浴剤」を求めるなら、次に書く湯の花系を選ぶことになります。
湯の花系|本物の温泉成分の結晶
湯の花(湯の華)とは、温泉に溶けきれずに沈殿・析出した成分のこと。これを集めて天然入浴剤として販売しているものが、湯の花系の入浴剤です。
有名なところでは、大分県の別府明礬温泉の薬用湯の花(みょうばん湯の里)。江戸時代から続く製法で、温泉の噴気と青粘土から結晶を作るという独特の製造方法で、2006年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。本物中の本物、と言える入浴剤です。
明礬温泉は源泉によって泉質に幅がありますが、共通するのは「酸性+含硫黄+硫酸塩+アルミニウム」系のキャラクター。pH1.7〜2台の強酸性源泉もあり、刺激の強い温泉地です。湯の花にも硫黄成分や硫酸塩鉱物が豊富に含まれていると思います。
群馬県の草津温泉の湯の花も同様に有名。湯畑から採取される本物の湯の花は希少品で、入浴剤として配合されている商品もあります。
草津温泉湯畑源泉の泉質は「酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)」。pH 2.1の強酸性で、「酸性泉・硫黄泉・硫酸塩泉・塩化物泉」という4つの泉質要素を併せ持つ複合泉質です。湯の花にも、その複雑な成分が反映されていることでしょう。
ただし、湯の花系は強酸性や硫黄を含むものもあり、家庭の浴槽や追い焚きとの相性に注意が必要です。入浴剤商品の注意書きをよく読んでから購入しましょう。
別府明礬温泉 薬用湯の花(みょうばん湯の里)
江戸時代から続く伝統製法で、明礬温泉の噴気と青粘土から結晶化させた天然湯の花。2006年に国の重要無形民俗文化財に指定された、本物中の本物の入浴剤です。1包10gの個包装で使いやすい25回分。
入浴剤を楽天で見てみる →詳しくは「温泉地別の入浴剤」記事で書いているので、本物志向の方はそちらをどうぞ。
温泉ソムリエの分類「外」|薬湯系(生薬入浴剤)
最後に、温泉ソムリエの10泉質には当てはまらないけれど、入浴剤として外せないカテゴリ。生薬を使った薬湯系です。
たとえば商品例はツムラのくすり湯バスハーブ。トウキ・センキュウ・ハマボウフウ・チンピ・ハッカ・カミツレといった生薬の抽出エキスを有効成分とした、液体タイプの入浴剤です。漢方の老舗ツムラが「中将湯」という生薬入浴剤から発展させた40年以上のロングセラーだそうです。
温泉成分ではなく植物由来なので、温泉ソムリエの分類では「その外」ですが、「小さなお子様でも毎日安心して使える」と公式が明記している点で、子育て世帯にも選びやすい入浴剤ですね。香りを色々楽しめるのも、入浴剤ならではのメリットなのでこのカテゴリーも僕は好きですね。
ツムラのくすり湯 バスハーブ
トウキ・センキュウ・カミツレなど6種の生薬エキスを配合した液体タイプ。漢方の老舗ツムラの40年以上のロングセラーで、「小さなお子様でも毎日安心」と公式明記。
入浴剤を楽天で見てみる →目的で選ぶ|湯守みなとが考える5つの軸
ここまで紹介して「ややこしい」と思った方もいるかもしれません。
泉質と成分の対応がわかった上で、「じゃあ自分は何を選べばいいか」という話に進みます。目的別に整理すると、例えばこんな感じになるかなと思います。あくまで、参考までに読んでいただければと思います。
疲労回復したい
「お湯に浸かる」という点でまあ全部効くといえば全部効くんですが(笑)、それではあまりに乱暴なのでもう少し説明を加えます
入浴剤は大体どれも温熱効果はありますので、体はぽかぽかしやすいです。血の巡りがよくなって疲労回復にも良いです。(※めっちゃ薄いものは効果が薄いと僕は感じますけど。)
ただ、そのカラダの温まり方や、出た後の持続時間などは商品によって違いがあるかなと実感ベースで感じます。
特に温熱効果がより高くなる・血行を促進する炭酸ガス系(二酸化炭素泉系)がまず選択肢になります。発泡型のバブやきき湯ファインヒートなど。もしくは持続型である炭酸水素塩泉系のBARTHなどでもよし。ちなみに、発泡型は「お湯に溶けてからすぐ入る」のが基本で、溶けた後の数時間が効果のピーク。一方BARTHは中性で長く溶け込ませる設計なので、家族で順番に入る場合などにも向いていますよ。
バブ オリジナルアソートパック 30錠セット
花王の二酸化炭素泉系のロングセラー「バブ」のアソートセット。シュワシュワ発泡する炭酸ガスが血行を促す「心臓の湯」設計で、「赤ちゃんと一緒に入浴する時も使えます」と公式明記の安心感も魅力です。
入浴剤を楽天で見てみる →美肌を意識したい
炭酸水素塩泉系(クレンジング効果)と、(弱)アルカリ性単純温泉系(角質ケア)が「美人の湯」と呼ばれるグループです。商品で言うとBARTH、温素、美肌の湯600gなどが該当します。
温泉の世界でいうと、炭酸水素塩泉の浴用適応症に「皮膚乾燥症」が含まれているのもポイント。クレンジングだけでなく、肌の乾燥にもアプローチする泉質として位置づけられていることが、肌ケア目的で選ばれる理由のひとつかなと思います。
後でもう少し詳しく書きますが、温泉ソムリエ的には「美人の湯に入ったあとは、塩化物泉で保湿する」という二段使いの考え方があって、これを入浴剤でも応用できます。
アルカリ単純泉 pH9.5 美肌の湯 600g
群馬の川中温泉や和歌山の龍神温泉など、「美人の湯」のアルカリ度を再現したコンセプトの入浴剤。ツルヌルの湯ざわりが家庭で楽しめます。
入浴剤を楽天で見てみる →芯から温まりたい(冷え症)
冷え性ぎみというかたは、塩化物泉系(コーティング効果)と硫酸塩泉系(保温効果)が王道。クナイプのバスソルトや、マグマオンセン別府などがここに当てはまります。バスクリンの「日本の名湯」シリーズも、塩化物泉系成分と硫酸塩泉系成分を組み合わせた設計なので良いと思います。
温泉ソムリエ的に補足すると、塩化物泉と硫酸塩泉は浴用適応症に「冷え性」「末梢循環障害」が共通して含まれる、というのが冷え対策の王道として語られる根拠になるのかなと思います。塩化物泉は「熱の湯」、硫酸塩泉も「塩類泉」のひとつとして温熱効果が強い泉質とされています。
子ども・赤ちゃんと一緒に入りたい
これはわりと大事な軸だと思います。子どもや赤ちゃんと一緒に入るなら、刺激の少ない単純温泉系か、もしくは公式に「お子様使用可」と明記されている商品を選ぶのが安心です。
具体的には、花王のバブや、ツムラのくすり湯バスハーブ、BARTHあたりが選びやすいかなと思います。
逆に、強酸性の湯の花系や、刺激の強い硫黄泉系(湯の花100%系)は、子どもには少し強いのかなという印象はします。(「子供OK」とあればもちろん使って良いですがまず商品表示をよく読んでください)。
眠りの質を上げたい
入浴剤うんぬんよりも、まずお風呂に入る時間も大切ですね。
入浴剤と合わせるならば、就寝1時間半前〜2時間半前ぐらいに、ぬるめの湯(39〜40℃くらい)にゆっくり浸かるのが、個人的にはおすすめです。これに合うのは、長時間お湯の温度を保ちやすい中性重炭酸系(BARTH)や、リラックス系の香りを持つクナイプ「グーテナハト」(ホップ&バレリアン)のようなアロマ系などもありだと思います。
温泉ソムリエ的に言うと、単純温泉の浴用適応症には「自律神経不安定症」「不眠症」「うつ状態」などが挙げられているのが象徴的です。刺激が少ない泉質は長湯ができるので、ゆっくりリラックスにもつながるかなと思います。夜のお風呂は「効きそうな成分」よりも「やさしい刺激」で選ぶことが、眠りには合うのかなと思います。
逆に、シュワシュワの発泡系は刺激が強かったり、熱めのお湯は体が温まりすぎて長湯するとのぼせます(疲れる)。そうしたい場合は寝る直前よりは早い時間の入浴に向いていると思います。
「美人の湯」を入浴剤で再現すると?|落とす→覆うの二段使い
もうひとつ、温泉ソムリエ的に独特な視点を紹介します。
「美人の湯」の使い方の話です。
温泉ソムリエで習うことの中に、「三大美人泉質」と「四大美人泉質」という考え方があります。
まあ、詳しく気になる方は実際に受講して勉強してみてほしいのですが。
で、ここからが面白い話なんですが、温泉ソムリエには「美人の湯に入ったあとは、塩化物泉でケアするのがいい」みたいな考え方が出てくるんですよね。
つまり、一つの温泉に入った後に、今度は成分の異なる別の温泉に入る、ということです。
物理的にはなかなか難しいというかハードルの高い話だとは思いますが、この理屈はシンプルで、美人の湯は角質や皮脂を落としてツルツルにしてくれる代わりに、肌が乾燥しやすくなる。そこで、コーティング効果のある塩化物泉に入って「覆う」と、ツルツル感を保ったまま潤いも閉じ込められる、という流れです。
つまり、落として→覆う、という二段構えですね。
これ、入浴剤でもそのまま応用できると思っています。
たとえば、
- 1日目:BARTH(炭酸水素塩泉系=クレンジング)でツルツルにする
- 2日目:クナイプ バスソルト(塩化物泉系=保湿コーティング)で覆う
みたいな感じで、入浴剤を2種類使い分けることで「美人の湯ハシゴ」の体験を家でも再現できる、というわけです。
これは他の入浴剤おすすめ情報にはまず書かれていない切り口かなと思うので、温泉好きの方は試してみるとちょっと面白いかもしれません。
ただ、温泉がそうであるように人によって合う合わないは確実にあるので、刺激が強くて合わない場合は使用をやめたり、連続して使わないなどの適応が必要ですね。
温泉地別で選ぶ|本物の湯の花と家庭用ご当地系
温泉好きの方なら、「行ったことのある温泉地のお土産入浴剤を買う」「憧れの温泉を家で味わう」という選び方もあると思います。
主要な温泉地には、それぞれ固有の入浴剤があります。お土産として売っていたり、ネット販売でも購入できるものも多いです。
- 草津:草津町公式の湯畑採取湯の花、「湯けむり草津の湯」など
- 別府明礬:みょうばん湯の里の薬用湯の花(重要無形民俗文化財)
- 別府海地獄:マグマオンセン別府
- 有馬:金泉・銀泉それぞれを意識した入浴剤
- 玉川(秋田):pH約1.2の日本一の強酸性泉。北投石の産地として有名でラジウム微量含有
- 道後・下呂・登別・乳頭:それぞれご当地入浴剤あり
温泉地ごとに「本物の湯の花100%」と「家庭で使いやすく加工した入浴剤」があるパターンが多く、どっちを選ぶかで体験がだいぶ変わります。詳しくは別記事でまとめています。
「天然温泉に近い」入浴剤を探すなら
「とにかく本物の温泉に近い入浴剤がほしい」「天然温泉に限りなく近いもの」を探す方も多いです。ここはちょっとデリケートで、「本物」の定義によって選ぶ商品が変わります。
湯守みなと的には、「本物度合い」は次の4段階(4分類)で考えると整理しやすいかなと思っています。
- ① 源泉から採取した湯の花100%(別府明礬・草津など)
- ② 源泉の温泉水を乾燥配合(マグマオンセン別府)
- ③ 湯の花を加工配合(湯けむり草津の湯など)
- ④ 湯ざわりや見た目だけ再現(温素 白華の湯、日本の名湯にごり湯シリーズなど)
①が本物中の本物ですが、扱いには注意が必要。④は「気分」寄りですが家庭で安全に使えます。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分の用途に合うレベルを選ぶのがおすすめです。
湯守みなとが実際に使ってよかった入浴剤
ここまでは「カテゴリ別の地図」の話でした。じゃあ、実際に湯守みなとが使ってみてよかったものは何か、という具体的な商品は、別記事に改めてまとめています。この記事で出した商品も多いですが。
個人の体験ベースなので「ランキング」ではないですが、温泉ソムリエの知識を持つ僕が実際に試したレビューとして、選び方の参考にはなるかなと思います。
使う前に知っておきたい注意点
入浴剤は気軽に買えるアイテムですが、買ってから「あれっ」とならないために、いくつか押さえておきたい注意点があります。
追い焚き・風呂釜との相性
本物の硫黄成分や強酸性の成分は、金属を腐食させる性質があります。硫黄系・強酸性の湯の花100%入浴剤は、追い焚き循環式の浴槽では使わないのが基本です。商品パッケージにも注意書きが書かれていることが多いので、購入前にチェックを。
市販の医薬部外品の入浴剤(バブ・きき湯・温素など)は、メーカーが「浴槽・風呂釜をいためるイオウは入っていない」と明記しているものが多いので、追い焚きもOKです。
ホーロー浴槽の場合
高級ホテルなどでも見るホーロー浴槽ですが、ホーロー浴槽(とくに古いタイプ)は、特定の入浴剤と相性が悪いことがあります。具体的には湯の花配合タイプや、色素・粒子が沈殿するタイプ。商品ラベルに「ホーロー浴槽では使用しないでください」と書かれているものは、素直にそれに従うのが安全です。
残り湯の洗濯利用
「残り湯で洗濯できるか」も、商品によって違います。色つきタイプや一部の湯の花系は、洗濯物に色移りする可能性があるのでNG。残り湯洗濯したい派の人は、無色透明タイプを選ぶといいです。これも大体書いてあるのでよく読んでください。
薬機法の話|入浴剤に温泉と同じ効能は言えない
完全に蛇足です。これは少し細かい話ですが、ネットで調べるときの「読み方」として知っておくと役立つかも。
温泉の「適応症」(神経痛・冷え症・皮膚病など)は温泉法に基づくものなので、入浴剤にそのまま当てはめて「この入浴剤は神経痛に効く!」と書くことは、薬機法上できません。
入浴剤の効能は、医薬部外品として認可された範囲で「疲労回復」「肩のこり」「冷え症」など限定的に表示できる、という構造です。
なので「この入浴剤は○○泉に近い」「○○泉の成分が入っている」とは言えても、「○○温泉と同じ効能がある」と断定はできない(書けない)ので、一応ここに記しておきます。
よくある質問(FAQ)
入浴剤と温泉の本質的な違いは何ですか?
本物の温泉は、地下から湧き出る天然のものです。源泉の鮮度・温泉地の気候・湯ざわりや香りの厚みなど、家庭では再現できない要素を含んでいます。一方、入浴剤は人工的に作られたいわば「温泉成分相当物」なので、成分単体で見れば「薄い温泉」と言えるものもあります。温泉と入浴剤は別物ですが、敵対関係ではなく相互補完的な存在かなと思っています。温泉に行けない時に、入浴剤で温泉気分を味わう。温泉にはない泉質として、入浴剤ならではのお湯(アロマ系・ハーブ系とか)を楽しむ。そういう使い方が僕は好きです。
医薬部外品とそうでない入浴剤、何が違うんですか?
医薬部外品(薬用入浴剤)は、有効成分の種類や濃度が決められていて、「疲労回復」「肩のこり」などの効能効果を表示できます。一方、化粧品(浴用化粧料)はリラックスや気分転換を目的としたもので、効能効果の表示はできません。香り重視や雰囲気重視のおしゃれな入浴剤は化粧品分類が多いです。どちらが優れているかではなく、目的に応じて選ぶものですね。
赤ちゃんと一緒に入れる入浴剤の見分け方は?
パッケージや公式サイトに「赤ちゃんと一緒に入浴する時も使えます」「お子様も使用可」などの明記があるものを選ぶのが確実です。バブ、ツムラのバスハーブ、BARTHなどはこの類の記載があります。一方、強酸性タイプや本物の湯の花100%タイプは刺激が強いので、子どもにはおすすめしません。初めて使うときは、お子さんの様子を見ながら少量から、というのが基本です。
「炭酸入浴剤」と書いてあれば、二酸化炭素泉と同じですか?
これは記事の前半でも書きましたが、「炭酸系」と謳う入浴剤には2系統あって、温泉ソムリエ視点では別物として読めるかなと思います。シュワシュワ発泡するバブ・きき湯系は二酸化炭素泉の方向。中性のお湯に重炭酸イオンを長く溶け込ませるBARTHは炭酸水素塩泉の方向。狙いが若干違うので、「炭酸=同じ」と一括りにしないほうが選びやすいです。
温泉ソムリエの知識は、入浴剤選びにどう活きますか?
そもそもの話、温泉ソムリエの資格は「入浴剤を上手に選ぶ」ためのものではないです。本来は本物の温泉を楽しむための知識体系であり、温泉を楽しむための民間資格です。ただ、その知識を入浴剤に応用すると、商品ラベルの成分表が少しずつ読めるようになって、自分の目的に合うものを選びやすくなる、という副次的な効果はあるのかなと感じます。「炭酸水素ナトリウム」と書いてあれば炭酸水素塩線系か、「硫酸ナトリウム」が入っていれば硫酸塩泉の系統か、と判断できるイメージですね。
まとめ
温泉入浴剤の選び方を、温泉ソムリエの視点で書いてきました。要点をまとめます。
- 入浴剤は「薄い温泉」と言える。成分の入った入浴剤は、薄めの温泉と同等以上の濃度を持つこともある
- 温泉ソムリエの10泉質と入浴剤の有効成分には対応関係がある。商品ラベルを読めば、その入浴剤がどの泉質を狙った設計か分かる
- 全泉質に共通する「一般的適応症」と、泉質ごとの適応症がある。入浴剤も「温熱作用+成分のキャラクター」で読むと選びやすい
- 目的(疲労回復・美肌・温まり・子どもと一緒に・眠り)で選ぶのも有効
- 「美人の湯」フレームを応用して、落とす→覆うの二段使いという楽しみ方もできる
- 追い焚き・浴槽素材・薬機法など、買う前に押さえておきたい注意点もある
温泉ソムリエとして言えるのは、入浴剤は本物の温泉の代わりにはなりませんが、毎日のお風呂を「ただ体を洗うだけの時間」から「ちゃんと意味のある時間」に変えてくれる、ということは言えます。
せっかく毎日入るお風呂だからこそ、自分に合う一本を選んで、楽しく続けるのがいちばんかなと思っています。
各カテゴリの具体的な商品や温泉地別の話は、関連記事でくわしく書いています。